―エグゼクティブスイートを3年間貸し切りで!?
―だってスタンダードシングルじゃ狭いでしょ?
 さすがに都内の実家から通学するのはきついし
川原泉『グレシャムには罠がある』より

妙にゴージャス? 重厚カーテンに薔薇柄の椅子、蝋燭シャンデリア

 

 
 *お断わり*
・言及が無い場合、「車で〇分」の計算は2022年夏の道路事情に基づく。
 あの頃は酷い渋滞でAからBまで20分かかった等の指摘は聞き流す。
・鉄道は当時の路線で考えたが、複線化による時間短縮等は無視した。
 料金は2022年のものである。
・ホテルは、2004年に開業していなかった新しいホテルは除外した。

・推測は「武士」中断前まで、彰英シリーズ9作品半を根拠とする。
 仮に雑誌等で「実は彰英にはモデルがあって〜」と明かされていても
 残念ながら私はそれを読み損ねたようなので考察には含めないが
 もしそんな記事があるんなら教えてくださいっっっ
 今後、地域の山河の名が詠み込まれた校歌が登場するなどすれば
 それを踏まえて再検討することになるだろう。
 でも岡山は違うな。

 

 *注意

・この推論は完全に私(由里)の勝手な妄想である。
 聖地巡礼などと言って現地を訪れてもご利益は絶対にない。
 私が彰英所在地と断定した場所は現実世界では一般住宅地なので
 カメラなんか持って徘徊しないこと。聡真君が投げ飛ばしに来るぞ。
 用もないのに飛島君の病院あたりをふらふらしないこと。
 飛島君は柔道部より強いぞ。

 

 

問、彰英高校はどこにある。
答、神奈川県相模原市南区東林間(ひがしりんかん)8丁目。
小学校まで30分、会社まで40分の町田市南つくし野が覚くんの家である。
陣内君のホテルを1軒選ぶなら、小田急線相模大野の小田急ホテルだ。
相模大野と南つくし野の両方からの通学の便を考え
細部を調整すると、彰英の所在地は東林間8丁目となる。


これで終わってしまっては誰も納得しないと思うので、順を追って説明する。
できれば首都圏の地図と鉄道路線図を手元に置いてほしい。
メイプル戦記の第3巻(文庫2巻)も必要となる。
準備ができたら、さあ、始めよう。

 

 

彰英高校はどこにあるのだろう。
連作のほぼ全作品で繰り返される「県下でも指折りの進学校」との説明から、
まず北海道、東京都、京都府、大阪府は確実に否定される。
在外の日本人学校の可能性も無いだろう。
中国やベトナムなら県もあるが、火星人(あるある)の墜落地は大陸ではない。
素直に日本の43県の中からその地を目指す。


最初に、彰英とは一見まるで無関係な貴島覚くん(葡萄月)の家を探そう。
彼ら父子の会社は東京、新宿にある。
財閥の会長が、満員電車を乗り継いで片道80分の通勤などしないだろう。
彼らの家は新宿から車で30分程度(高速道使用)の範囲にある可能性が高い。
東は船橋(千葉)、西は相模原(神奈川)、北は川口や戸田(埼玉)まで
かなり広域ではあるが、それでも南関東、東京都を除いて3県には絞れる。
(新宿から時速100kmで30分=50kmと考えると茨城西部も圏内だが
実際には常磐自動車道の県境地点からでも約55分かかる。)

次いで「葡萄月」からもう1つの判断材料を追加する。
私立緑山小学校。リアル小学生だった覚くんの通った学校だ。
学校名の由来は判らない。
緑山さんが作った学園か、中国の古典から2文字を抜き出したのか。
地名と言う可能性だってある。
南関東1都3県に、その名前が1か所実在するのだ。
神奈川県横浜市青葉区緑山。(覚くんが小学生だった1970年代は緑区緑山)
この緑山と新宿は、東名高速ほぼまっすぐで50分弱の距離にある。
覚くんの小学生時代にはまだ青葉インターチェンジが無く
遠回りをして横浜町田ICを使う必要があったが
それでも渋滞に巻き込まれない限り1時間はかからない。
もしも緑山小学校が緑山にあって、覚くんの家が緑山と新宿の中間にあれば
通勤通学が共に30分前後で済むわけだ。
緑山小が車送迎禁止だと電車通学になり、少し余計に時間を食うので
自宅は中間地点より緑山寄りで、鉄道の駅近くが都合良いだろう。
横浜町田ICのそば、東急田園都市線すずかけ台駅周辺はどうだ。
田園都市線から東急こどもの国線に乗り継いで、緑山まで29分で登校できる。
(下図2参照)
父親の会社までは少し予定を超過し40分かかってしまうが
どうせ車の後席でふんぞり返っているだけなのだ、そこは大目に見て欲しい。
覚くんの家は東急田園都市線すずかけ台駅近辺だったことにしよう。
住所としては東京都町田市南つくし野となる。

尚、1970年代の東京の中心は東京駅周辺、丸の内であった。
覚くんの父の会社も当時はそちらに本社を置いていた可能性が高いが
すずかけ台方面からの所要時間は殆ど違わないようだ。
貴島家の所在地には影響しない。


図1
 


このあたり一帯は1970年代以降に開発された新興住宅地である。
すずかけ台駅の開業が覚くんの小学校入学前年、
駅の反対側(横浜市)にT工業大が置かれたのが1975年。
それ以前は、名門一族がわざわざ住むような場所では無かった筈である。
祖父曽祖父の代から所有する都内一等地の屋敷だってあったろうに
何故、覚くんの両親はここで生活を始めたのか。
おそらく覚くんのお母さんがこの辺りの出身だったのだと私は考える。
仕事が忙しすぎて育児に参加できない夫、体の弱い妻。
日常の世話焼きはばあやがしてくれても、覚くんには身内の愛が必要だと
実祖父母が手出し口出しできる妻の実家の近くに暮らすことを夫婦は選んだ。
通勤には30分以上かかってしまうが。
まだ自然が多く残っていた町田市南部で、木登り、凧揚げ、昆虫採集、
広い空き地を思う存分に駆け回りながら、覚くんはのびやかに育ったのだ。

1973〜79年、覚くんが小学生時代を過ごしたその家に
彼らがその後も住み続けたという証拠は1つもない。
緑山に中等部があるのかどうか不明である。
高校生になった覚君はもうカブトムシの集まる木は要らないし
大学生の覚青年には都心のマンションの方が便利だろう。
が、75年まで住んだ家は、妻と、母との思い出の詰まった大切な家である。
そう簡単に住み換えられる物であってはならない、と私は思う。
妻が選んだ玄関のタイル、覚くんの誕生を祝って夫婦で植えた記念樹、
小さなさとるちゃんが壁に落書きしてしまったクレヨンの「おかあさんのかお」、
家族の歴史と共に、覚君27歳の冬、父子はまだその家に住み続けている。


しかし、どんな事情があったのかは知る由もないが
90年代末、貴島家は大事なこの家と一時的に別れることになった。
例えば父は会社の不祥事の責任を取って地方の子会社社長に降格赴任。
息子はニューヨークに2年ロサンゼルスに1年、後継ぎ前の武者修行。
住む人のいなくなった家を、それでも貴島父子は手放すことができず
いつかまた家族「3人で」暮らす日が来るまで、自宅は人に託すことにした。
空き家で放っておくと傷むから、信用できる人に住んでもらう方が良いのだ。
妻が気に入っていた居間の窓の眺め、母さんが蒔いた庭のパセリの子孫、
何があっても現状を変えるな。それが留守を任せるにあたっての条件だった。

その大役を仰せつかったのが、飛島家(レナード)である。
一家は、さすがに夜空の星までは固定できなかったと見えるが
それ以外は庭木の枝葉、駐車場に置かれた車まで1ミリも動かさずにいる。
車の為には、ときどき走らせてやった方が良いらしいが。
そんな理由で2001年、高校生の飛島君の家は町田市すずかけ台にある。


飛島君は、自宅通学生であるように読める。
ということは、彰英高校はすずかけ台から通学可能な範囲にあるということだ。
飛島家だって立派な持ち家があったろうに、わざわざ貴島邸に越してきたのは
病院経営の上での損得勘定、政略的な面もあろうが
息子の通学の便を考慮してのことも大きかったのではないか。
となると、すずかけ台から通学便利−
彰英高校は東急田園都市線沿線である可能性が出てきた。
市町村で言うと神奈川県横浜市、川崎市、大和市。
駅から500m〜1km歩いて良いなら座間市、相模原市も沿線と言える。
(下図2参照)

尚、田園都市線は地下鉄半蔵門線を経由して東武伊勢崎線に乗り入れており
埼玉県の草加、越谷、春日部、宮代町、九喜も沿線と取れなくはない。
が、最も神奈川寄りの草加でも、すずかけ台から100分かかってしまう。
これは便利とは言えないだろうから、埼玉各市は彰英所在地候補から外す。
どの道、東武線との直通運転を始めたのは2003年で
飛島君の彰英入学には間に合わなかったし。

 

 

少し範囲が絞られてきたところで、次は陣内君(罠)に登場を願おう。
彼は「市内で一番の高級ホテル」に住む。
学校まで職員が弁当を届けることが可能な距離にあるホテルだ。
客室部分15階、宴会場やレストラン、会議室を入れて20階建てくらいか。
ホテル周辺には10〜15階建て程度の中層建築が並ぶ。西の遠景に山。
客室窓からはかなり遠くに新宿?の明かりが見える。
この「ホワイト・スプリングス・ホテル」のあり場所を突き止めようではないか。

私は、市内という表現から、学校とホテルは同じ市にあると考える。
学校と違う町であれば「A市で」「この市で」「学校近くで」一番と言うだろう。
陣内君のホテルは、学校と同じ市=上記の田園都市線沿線5市、
横浜、川崎、相模原、大和、座間のどこかにある筈だ。
1つずつ検証していく。


図2
 


初めは神奈川の県庁所在地、横浜。
老舗のホテルニューグランドが文句なしに県内最高級だ。(上図赤丸A)
レストランも大変に評判が高い。
山下公園が目と鼻の先、東から北の方角に窓がある部屋なら港が見える。
北〜北西の窓なら、みなとみらい地区の夜景が綺麗だろう。
3年間とは言わない、1晩だけでも良いから泊まってみたい憧れの宿である。
雰囲気は、陣内君の部屋としてこれ以上ない程ぴったりだと思う。
が、ここに県外生の山吹さんを連れ込んでおいて、土産に寿司は無い。
中華街まで250m。接待は中華料理にするべきだ。
田園都市線あざみ野から地下鉄2本を乗り継いで37分も遠すぎる。
真島さん(華)は電車で40分の町に住んでいたから、40分かけてそこから通う。
しかし好き好んで40分の場所に部屋を借りる人は滅多にないのでないか。
ゆえに、これは陣内君の住まいではない。と私は考える。

ニューグランドを支持するのは、しかし、じじばば世代が中心だろう。
若い人にとってはインターンコンチネンタルの方が魅力的かもしれない。(図B)
真っ白な船の帆の形をした、みなとみらい地区の象徴的存在だ。
市営地下鉄桜木町から徒歩5分、雨でも傘なしで移動できるのは有難い。
しかし、真っ白な船の帆である。誰が見てもダーク・タワーではない。
陣内君のホテルは、横浜には無い。つまり、彰英は横浜に無い。

次は川崎だ。
値段に格式などまで加味して選べば「ホテル日航」が一番と思われる。(図C)
田園都市線溝ノ口からJR南武線快速で11分、川崎駅徒歩1分は魅力的だ。
しかし。こう言っちゃあ何だが、街自体に高級感がない。
--人様の大切な故郷を悪く言うのは嫌なので7行自粛--
まあ、ロッテ・オリオンズやベルディ川崎が逃げ出すような町ということだ。
陣内王子に川崎はふさわしくない。
川崎も違う。
せめて市北部、小田急や東急の沿線に陣内資本の4つ星ホテルがあれば
川崎駅周辺よりずっと印象良く、「一番高級」の定義も譲歩できたのだが…。

大和、座間には高級ホテルはない。
東〇インだって市内に他のホテルがなければ「市内で一番」には違いないが
エグゼクティブな部屋が無いのでは話にならない。
せめて直営のレストランがあってくれないと困るのだ。
この2市は除外する。

最後に相模原市。県内3つ目の政令指定都市である。
この町で最も宿泊料が高いのは「小田急ホテルセンチュリー」。(図D)
所詮は電鉄系、ニューグランドの格とは比ぶべくもなく
陣内君本人としては「市内では一番マシ」位の認識かもしれない。
それでも一応、エグゼクティブという名の部屋はあるし
結婚披露宴に対応できる程度のレストランも付随している。
歩いて1分の相模大野駅は、小田急小田原線と江ノ島線の合流(分岐)点で
一部のロマンスカー(有料特急)以外の全列車が停車する便利な駅だ。
田園都市線にもわずか2駅先で接続している。
文句なしとはお世辞にも言い難いが、致命的な欠陥も無い、ここ
小田急ホテルセンチュリー相模大野を陣内君の住む所と断定しよう。
現状ではシングルとダブルだけで、スイートのエグゼクティブは無い。
構うものか、2部屋借りてぶち抜いてまえ。
近くに米軍基地があるので騒音が気がかりだが、
高級ホテルならば十分な防音も施されていると信じよう。

新宿から相模大野までは、快速急行で38分しかかからない。
ここを通うのが「きつい」というのは贅沢すぎるとも思える。
が、例えば実家がお台場(の一戸建て^^)ならば、3回乗り換えて85分。
これはお坊っちゃまにはきつい。混雑した駅構内を歩くだけで音を上げる。
だから陣内君は東京に実家があっても神奈川のホテルを借りるのだ。

 

 

陣内君のホテルのある相模大野から小田急江ノ島線の急行で3分、
「中央林間(りんかん)」は田園都市線の始発駅でもある。
飛島君の家(=貴島邸)最寄りのすずかけ台からも3駅、6分で着く。
共に都心行きとは逆方向なので、登校時間帯の殺人的混雑も無い。
塔宮君たち(裏)の兄の新居・新宿への突撃も小田急1本、往復838円で済む。
この中央林間を彰英高校最寄り駅と考えると多くの者が幸せになるだろう。
数少ない例外、彬良君(華)がお台場のPUJIテレビに行くのは連絡が悪い。
車でも50分ほどかかってしまうが、毎日のことではないから我慢して貰おう。
彼は週末の撮影後は学校近くの自室に戻らず都内の実家に帰るそうなので
むしろ東京どこでもらくらく接続な土地に学校があってはならないのだ。
そのかわり渋谷のMHKや赤坂のTBSは電車で簡単に行ける。
決定。
彰英高校の最寄り駅は、小田急と田園都市線が交わる中央林間だ。

 

 

但し中央林間駅は神奈川県大和市にあり、陣内君の市内から外れてしまう。
相模原市に入るには北に500mほど歩かねばならないのだが
この制約によって、学校所在地の絞り込みは寧ろ容易くなったと言えよう。
彰英高校は相模原市と大和市の境界線ぎりぎり相模原市側にある。
該当するのは、中央林間駅北口から徒歩6分、東林間8丁目。
飛島君の使う田園都市線の改札からだともう数分余計にかかる。
陣内君は1つ手前の東林間で下車しても良い。てか、自転車通学でいい。
彰英高校は、神奈川県相模原市南区、東林間8丁目にある。


東急線が中央林間まで延伸したのは1984年らしい。
それまでは彰英の通学手段は小田急線しかなかった。やや不便だ。
全校生徒の2/3が入寮し、他に学校近くで部屋を借りる生徒もいる環境では
通学の足のことはあまり考えなくても構わないと言える。
が、放課後に東京の予備校に通ったり、週末に美術館や博物館を訪れたり、
都心への交通は良い方が嬉しいだろう。
同じ駅を使うユリアナの女の子たちも繁華街へ出やすくなって喜んだと思う。
先生方は渋い顔をなさったろうが。

少し気になるのは月島さん(嘘)の発言である。
「さすがにここからT大まで通うのは無理だよね?」
理科II類という表現から、T大とは東京大学を指すと推測できる。
彰英が東林間8丁目にあるのなら、彼女たちのアパートから東大理学部は
小田急と地下鉄千代田線を使って1時間30〜40分程度の筈である。
これは全然無理ではない。月島さんの科白には嘘がある。
但し、往復3時間の長旅に耐えられるのは、帰宅する先に誰かがいるならだ。
テレビを相手に一人で食って、片付けて、一人で寝て一人で起きて、
それでは180分の時間と交通費がただ無駄なだけである。
東大から徒歩15分の下宿に移った方が良い。
もし月島さんが現在高1で、来年も再来年もこの部屋に住み続けるなら、
神城先生はこの部屋から大学院に通ったかもしれない。肉じゃが目当てに。
しかし月島さんは春には卒業してしまう予定なので
神城先生はこのアパートに帰ってくる甲斐がない。
例え1時間半しかかからなくても、通うのは無理である。
月島さんの言葉があっても、彰英が東林間にあることに破綻はない。

 

図3
 


小田急線を挟んで彰英と隣り合う相模原市上鶴間(かみつるま)8丁目には
24,000平方mの面積を持つ「東林(とうりん)ふれあいの森」がある。
現地を訪れたことは無いが、遊歩道の整備された森林公園らしい。
写真で見る限り、雰囲気はさみどり公園にとてもよく似ている。
この林を構成するのは主にクヌギやコナラだと説明があった。
亘理さん(程)が拾ったのはこのクヌギの実に違いない。(コナラは形が違う)
彰英からは女子寮の塀を越え、線路を渡り、金網の穴をくぐると近道だが
ちゃんと警報機遮断機付きの踏切がある。愚かな行為は慎むこと。
森の南は大和市の「つるま自然の森」と繋がり、合計約59,000平米もあるので
ロッキー(羽)だって思う存分走り回れる。綱を放して良いのなら、だけれど。

さみどり公園から1kmも無い距離には相模原市立「くぬぎ台小学校」もあり
亘理さんたちご近所3人組の母校かもしれないと想像してみる。
小学校は遙ちゃん、槙原君も在学中で
そうすると文房具屋は、動物病院はどこだろう。
さみどり6丁目の遙ちゃん家も特定できるかな。
ねっとすとーかーって怖い。個人情報の露出には気を付けましょう。

飛島君が帰りの電車を南町田で途中下車して12分歩くと「飛鳥病院」がある。
心臓外科は無いが、「心」を扱うという点では一致するようだ。
ここが飛島父の病院かもしれない。
父から呼び出され、放課後に寄った病院で人格を否定された後
何故自宅とは逆方向のさみどり公園でたそがれたのかは不明だが
おそらく家に帰りたくなかった、のだろう。
ただ、個人病院は、院長自宅の近くにあることが多いのではなかろうか。
貴島邸を預かる前の本来の飛島家が飛鳥病院に近い南町田にあったとすると
転居によって、飛島家から彰英へは寧ろ遠くなってしまったことになる。
飛鳥病院は飛島家とは無関係なのかな、単に字面が似ているだけで。

もう1つ、中央林間駅の北西にある「どんぐり公園」も名前が気になるが
亘理さんの縄張りとは違うと結論付ける。
確かにドングリのなる木も植えられてはいるようだが
小学校低学年の子供のゴムまり遊びがせいぜいな面積の児童公園である。
待ち合わせに西口だ北口だと指定しなくても良いし
地元民がいまさらクルミを発見することもないだろう。

 

 

問題は、この近くに蕨さんの住む「西田3丁目」が存在しないことだ。


西田3丁目については、彰英所在地を検討するに当たり真っ先に調べた。
埼玉県深谷市に西田という町名がある。
しかし最寄りの岡部駅から新宿までは1時間50分もかかる。
往復料金2700円、塔宮君たち(裏)が放課後、日が傾いた後になって
その場の思い付きでふらっと抗議しに行く距離ではない。
そしてここ以外に、南関東に西田は見つからなかった。

「桃島(愚者)」的に、「南田」や「西畑」をもじった可能性はないだろうか。
南田、北田。無い。
東田町なら神奈川県川崎市川崎区に実在するが
川崎競馬場と競輪場から各々徒歩数分。風俗店や飲み屋が並ぶ地域だ。
校長よ、ルルーニュの金塊があるなら、もーちっっとマシな所に学校移せや。
陣内君のホテル選びの際に川崎の悪口を言ったのは取り消しても良い、
だがしかし、彰英高校を川崎市東田町に置くことは断固阻止したい。
西田3丁目は川崎市東田町ではない。

千葉県に小湊鉄道の西畑駅がある。が、住所としての西畑はない。
NISHIDAを並べ替えてみたらどうだろう。
千葉県石原市神代は「しんだい」でなく「かじろ」だ。
調布市の神代は「じんだい」な上に町名ではなく、しかも東京都だ。
石段、新井田、志田院、等思いつくままに探すもこれと言う地名は見つからず

結局、西田3丁目は、私が調べた限り、完全でっち上げの架空の地名だった。
だから、彰英高校付近にその住所が存在しなくても仕方がない。
西田3丁目が近所でないことを理由に
「彰英高校東林間8丁目説」を否定してはならないのだ。

「がある」と「葡萄月」は偶々1点で交わってしまったが、本来は別世界なので
西田が架空で緑山は実名で存在する不整合も、決して「矛盾」ではない。
ご都合主義なだけである。
尚、仮に緑山小が「青山学院初等科」のもじりでも、同小は渋谷駅に近いので
貴島邸が東急田園都市線沿線にあることに不都合はない。
但し貴島家の最寄り駅はすずかけ台よりずっと渋谷寄りになるだろう。
飛島君は少し不便になってしまうが、小さな覚くんに譲歩してあげるべきだ。

 

とにかく結論、
彰英高校は神奈川県相模原市南区東林間8丁目にある。

 

 

おまけ もーひとつの可能性 彰英北陸説

「彰英は、富山県小矢部市にある」

小矢部(おやべ)市と言うのは変ちくりんな市で
東京駅、東大安田講堂、ベルサイユ宮殿などに外観を似せた建物を作り
学校や公民館として使っているのだ。
(小矢部 メルヘン建築 で検索すると良い)

小矢部ならば「貴島邸そっくりな飛島家」や「松葉ヶ丘そっくりな彰英高校」
「札幌南大学病院そっくりな飛島総合病院」があっても不思議はない。
名も無き庶民が暮らした昭和の町並みということなのか
蕗子(葡萄月)のひそひ荘周辺のアパート群が再現されているかと思えば
そのアパート(鹿梨荘;罠)から明かりが見えるあたりには
新宿住友ビル、三井ビル、センタービルに似た高層建築も林立している。
そう、塔宮兄たちの新居の近くにあるのはこのビル群だ。
塔宮君たちは片道3時間、7千円以上かけて新宿に行ったわけではない。
が、陣内君にとっては余裕で通学可能な範囲らしい。
「往復の6時間は、予習復習に充てるから別に無駄にならないでしょ?
グランクラスだから座れるし。でもさすがに毎日はきついね。」
全くお坊っちゃまって奴は。  *但し富山までの開通は2015年。

しかし、雪だ。
昨冬、月島さん(嘘)のアパートの屋根の無い外階段に降った雪を見よう。
月島さんがツルッと滑った段とそこにあった雪の深さの比は65:15である。
建築基準法で共同住宅の共用階段の1段は高さ22cm以下とされるので
(彼女のアパートが不法建築でない限り)積雪量5.07cm以下と計算できる。
これは富山県ではない。
富山では、一晩で50cmは積もらないと大雪と呼ばないのだ(出身者談)。

でももし、月島さんが起きる前に201号室の人が一度除雪してくれていたら
その後、月島さんのゴミ出しまでの30分足らずの間に5cmも降ったのなら
単純計算で5時間で50cmを超える勘定になる。それは立派に大雪だ。
その場合は、彰英高校は、富山県小矢部市にある。かもしれない。

2022.8.31


表紙へ/くつくつ一覧へ