ああ 桜よ桜 花吹雪
…そして熱海に行くのよ あたしたち
川原泉『三月革命』より

うめら ちがう

 

「みどりの窓口」で、アメリカで発行された私のクレジットカードがとらぶった。
国鉄側が海外カードを拒むのか、カード会社が海外(=日本)での使用を警戒するのか、
とにかくカードが撥ねられた。新幹線の切符を買うのに急遽、万札が必要になった。
日曜の朝である。郵貯のカードは持っているが、こんな時間に使える端末はどこにある。
現金の工面に手間取る隙に、乗る筈だった小田原停車のひかりは無情にも逃げてしまった。
小田原に停まるひかりは1時間に1本しかない。次を待つのは時間の無駄だ。
こだまで静岡か浜松まで行ってひかりに乗り継ぐ方が早いだろう。と思って時刻表を見たら
そもそも、そのこだま号が全然走っていないじゃないか。ひどい冷遇ぶりである。
どうやら在来線で熱海へ行き、そこで熱海停車のひかりを捕まえるのが一番早いようだ。
じゃあそうしよう。
でも、どうせならあと1日早く行きたかったな。
今日は4月1日。「革命のシーズン」にはちょっくら遅刻した。


隣県(神奈川)に生まれ育ったくせに、熱海で下車するのは初めてである。
乗り継ぎには少し時間の余裕があったので改札の外に出てみたら
バス停の広場に、満開を過ぎて散り始めてしまった桜の木々が並んでいた。
(この年、2007年は、例年より桜が早かったんだ)
恐る恐る近づいて、根元のあたりを確認してみる。
………ほっ。
落とし物はありませんでした。


半月後、ダラスに戻ってデジタルカメラの中身を整理していたら
あの日熱海で撮った写真も数枚現れた。
おや?撮影日時が「03.31_19.32.55」になっている。
ああそうか、日本では4月でも、ダラス時間ではぎりぎり3月だったんだ。


ちゃっぷん。

2014.3.10


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