ちょっと砂糖の量まちがえて甘くなりすぎちゃったけど…
 いいよね?
川原泉『アップル・ジャック』より

 

タンスがじがじ

それは1930年代。
合衆国、ミズーリー州はセントルイスに、1人のドイツ人のパン屋がいた。
ある日彼はケーキを焼こうとして、ちょっとばかりしくじった。
「…このケーキ 少し甘くない?」
「そぉ?」
「甘いよ絶対 よく平気で食えるな ねーちゃん」
「わはは 短大の卒業試験で忙しくてねー 砂糖の分量をまちがえて…」
短大の試験かどうかは知らないが、とにかく彼は、材料の配合を誤った。
その失敗が、かつてないほど邪悪な甘味とベタつきをもたらしたんだな。
そんな失敗作、プロの職人なら恥ずかしくて表に出せないのが普通だろうに
彼は平然とそれを売った。
70年の時を経て、それは今、セントルイスの名物菓子となっている。
甘味に超鈍感なアメリカ人でさえ1切れで辟易すると言うそのケーキ、
歯グキがケイレンしそーなその菓子を、私は7切れ食った。
お店では8切れ分まるごと塊の状態でしか売っておらず、
夫はかなり頑張ったけど1切れで降参しちゃったので
仕方なく、2日がかりで私が残りを片付けたんだ。
ありもしない虫歯が一晩中痛んだ。
どーせ配合の間違った菓子を食べるのなら
マユは〜が砂糖を入れ忘れたダイエットクッキーの方がマシだと思った。
が、千草の兄ちゃんにいやがらせで贈るならこれは使える。
お買い求めはセントルイスのスーパーマーケットDierbergsで。
16oz.(452.6g)の角型ケーキで3ドル99セント(05年5月当時)です。

2008.6.11


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