記録がすべてとは申しませんが
ペナントレースは参加することに意義がクーベルタン
川原泉『メイプル戦記』より

 

さあ、いよいよ4年に1度の世界大運動会の開幕だ。
IOCが承認する国・地域が全て参加する五輪は
今回でまだ2度目なんだってね。
ボイコットしたり 仲間外れしたりなんかしないで
4年後も、8年後も、またみんな揃うといいな。
資本主義の国も 共産主義の国も
楽しいといいね 幸せだといいね
仲良きことは美しきかな。
世界人類(+ブレーメンたち)が平和でありますように。

 

 

さて。
1年ほど前から、私は毎朝1時間半〜2時間の散歩をしている。
それを始めたそもそものきっかけは
鈴姫遭難の足跡を辿って12kmを歩こうという川原研企画に備えた
シミツの猛特訓だった。
鈴姫は推定12kmをズンズン前進し
その子孫である和音さんは10kmをぼ〜っと走る。
由里さんだって負けられない。
競歩でオリンピックに出ようなんて馬鹿な事は考えないけど
せめてバスの終点からロレンス家まで
江戸から秋吉田までを歩き通せる位の体力が欲しいと思い
企画が無事に終了した今も毎日せっせと歩いている。
今、散歩は私の趣味であり日課である。
ちなみに足元は土足としか言いようのない運動靴。
りぼんの付いたかわいい革靴は持ってないの、くすん。

して。
最近、商店街の大きなガラスに映る自分の歩き姿が
それほど見苦しくなくなってきたように感じる。
少し、膝が伸びた。ほんのちょっぴり、背筋も伸びた。
のんびりトロトロ歩いているだけでも
何もしないよりはマシってことか。
膝と背が伸び歩幅が広がったことが1つの理由らしいが
家々の庭のスプリンクラーの水で濡れた歩道を歩いたとき
脛に上がるハネもとても少なくなった。
有難いことである。

さて。
話は戻ってオリンピックである。
川原世界でオリンピックといったら、和音さんだ。
町田君や真船氏、飛島君、新城さんだって
ひょっとしたら強化選手にくらい選ばれてるかもしれない。
剣道が五輪の正式種目になってりゃ苑生さんだって
囲碁が正式種目になってりゃ羽希だって
弁当作りが正式種目になってりゃ藤枝さんだって
とっくに代表になってるかもしれないけれど
…取り敢えずは、和音さんである。

和音さんが10kmをぼ〜っと走った日は、良い天気だったようだ。
歩道は乾いているから、どんな走り方でも泥ハネは上がらない。
法事の帰りに雨の中を走ったときも
たぶん和音さんの黒い礼服ズボンの裾は汚れなかったろう。
和音さんは絶対に私より歩幅が広い。
が、同じ雨の中を走った沈丁花娘はどうだろう。
あるいは史緒さんと静姫は。
史緒さんの場合は足のハネなどもうどうでも良いかな、
頭からブワシャッと被ってしまったのだもの。

史緒さんの頭にハネがある。

 

 

ええと、なんだっけ。オリンピックだ。
アテネである。
みすずと弘文の新婚旅行の地。
何故に2人はクウェートでの石油掘削をやめ
ギリシャなんぞを選んだのだろうね?
2人の結婚は春。ギリシャは花が綺麗な季節らしい。
アテネの白い花でも見に行ったのかな。
フィレンツェの風、
カリフォルニアの青い空…は少し遠いか。

しかしこの2人に花を愛でる趣味などあるだろうか。
みすずの台所の窓辺には壺のような物に入った植物があるが
これは観賞用の花で無くネギかモヤシか貝割れの類だろうし
とすると、2人は何をしにギリシャへ行った。
まさか死後は青い波間に散骨して貰おうと
エーゲ海の下見に行ったのか。

あ。
昔ギリシャのイカロスは、だ。
ライト兄弟よりもはるか昔に空を飛んだ男。
もしもイカロスがいなかったら
世界の航空史は全く違った物になっていただろう。
そしたら弘文も違う職に就いていたはずだ。
弘文にとって、おそらくギリシャは聖地なのである。
だから人生の記念すべき節目にあたり、その地を訪ねたわけだ。
ひょっとしてアテネにイカロス記念館とかあったりして。
イカロスの遺品とかが展示してあるんだ。
弘文、それが見たかったのかもね。

昔ギリシャのイカロスの 両手にロウの羽がある。
そして勿論、弘文は頭に羽がある。

 

 

白薔薇の君の背中には、きっと天使の羽がある。
和馬の背中には悪魔の羽が生えている。
堕天使の早紀子ちゃんは偽の羽を持つ。
そしてぺ天使の仁希は……仁希は、心に羽を持つ。
「翔べ心! 本はその翼である」
1978年の読書週間の標語だ。
月森仁希、当時6歳(推定)にして
既にシートンやらファーブルやらを愛読していた。

仁希と言えば。
アテネオリンピックに合わせた番組編成なのだろうか、
こないだテレビで「My Big Fat Greek Wedding」つう映画をやっていた。
ギリシャ系の女性と非ギリシャ系の男性との結婚どたばた物語。
違った文化を背負って立つ2人が一緒になるんだから
国際結婚てぇのはやっぱり大変だぁね。
この映画の場合、国籍は2人とも米国だけどさ。
真船家も北原家もロレンス家も、
もしかすると御門&狩谷家もハワード&島崎家も、
みんなみんな、ごくろうさん。
(まさかレギオン&ナルセ家という「ハッピーエンド」は無かろうな)

それはともかくとして。
その映画の中に、こんな場面があった。
ギリシャ人の父が、娘の相手の両親に自分の一族を紹介するのだ。
「あれが私の兄のテッドと妻のメリサ、その子供の誰某と誰某とニック」
「こっちは兄のトミー、妻のアンジー、その子供の誰某と誰某とニック」
「弟のジョージと妻のフリーダ、子供たちの誰某と誰某とニック」
「誰某、誰某、誰某、ニック」
父親は、新婦のいとこたちを次々と指差しては
「ニック、ニック、ニック、ニック」
俺もニックだよ〜と手を挙げる青年。
「ニック、ニック、…そしてこれはニッキ」
男性側の両親は目を回し
「ぱっ ぴっ ぷっ ぺっ ぽぽぽぽぽ…」になってしまうのだが
ニック・ニッキって、ギリシャに多い名前なのかしら。
実は月森家も遠い昔に国際結婚したご先祖様がいて
仁希にも1/16とか1/64とかギリシャの血が混じっていたりして。
あたしゃてっきり、仁希の婆ちゃんが
京都の八つ橋とかが好きだったのだと思ってた。
シナモン、肉桂、ニッキ、仁希。
ニッキは和菓子にも使うけど、洋菓子にも欠かせないよ。
ニッキ無しのアップルパイなんて想像できない。
林檎、りんご、りんごりんごりん五輪。
アテネ五輪、開幕おめでとう。

 

 

輪、輪、5つの輪。
虫歯の原因は3つの輪。歯と食物と虫歯菌。
虫歯菌 サタンの紘子さんは背中に黒いハネを持つ。
メイプルスのユニフォームにダチョウやクジャクの羽はついてないけど
アポロンの翼は黄金の夢、
応援団長の背中にはふわふわの羽根がある。

星井野の背中に靴跡がある。
ナッシュの背中にゃリュックがある。
雪村さんの背中に甲羅がある。
忍君の背中にはスクリーン・トーンの61番がある。
達ちゃんの背中に負債がある。
3人娘の背中に猫がいる。
カッシーニの天井に羽根がある。
そこでハネれば羽希がこーくる。
巨大なケーキはネハンで待つ。
何が何だかわからなくなってきたが。
9月末まであと1月半。
あの子の背中の羽根を待つ!!

 

 

おまけの写真
Houstonにて。
亀千代のハネをむしって北京ダック
ジャック君ごめんよ…

2004.8.13


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